「早押チャレンジクラス」参加規程(Ver1.0)リリースにあたって

クイズ大会共通の参加規程「早押チャレンジクラス(Ver1.0)」をリリースしました。

基本的な考え方ははじめにに記載させていただきました。

 

ここでは参加規程Ver1.0を定めるにあたり、制定者として迷った点を挙げると共に、その意図をまとめます。

 

「新人王早押王」「チャレンジクラス」以外の大会を卒業基準に組み込むべきか?

これは実は最後の最後まで迷いました。

制定者の感覚として「大規模大会(abcや勝抜杯等)で筆記を抜けておいて、「チャレンジクラス出場」はないだろう」という一方で、「どこまでを大会に加えるか」が難しいというものです。

また、全国で盛んにおこなわれている中高生以下の大会についての評価を加えなければ、強豪の中高生もチャレンジクラス相当となってしまいますし、中高生がこのレギュレーションで大会を開きにくくなってしまいます。

 

色々迷った末に、新・一心精進で告知・結果報告された、第3回以降の、100人以上参加の個人戦の大会での、(人数を半数以下に絞る)筆記通過者」のみ、「チャレンジクラス卒業」とすることにしました。 

これについての「なぜ?」をまとめてみます。

 

【なぜ『新・一心精進』に告知・結果報告された」なのか?】

2017年4月に『新・一心精進』として再出発した際、大会告知時に「記録を公のものとして結果に残す(大会結果を、他の大会の参加レギュレーションに使ってよい)」ということを明示的に主催者許可を取るようになっています(『一心精進』時代は許可を得てません)。これを踏まえ、このような規定を作ることができるのは『新・一心精進』に告知された大会だけと考えています。

クイズの世界には「活躍すればチャレンジクラス卒業」に相当するクイズ大会やイベントは他にもあると考えておりますが、『新・一心精進』に結果報告されてない以上、含めるべきでないと考えました。

 

【なぜ「第3回以降」「100人以上」なのか?】

3回以上続いて100人以上参加している大会であれば、ある程度「実力判定」の基準として適切になるだろうと判断しました。もちろん、これはあくまで今回の「卒業基準」を決める上でそうした、というだけであります(クイズ大会の評価を、開催回数や参加人数だけですべきではないのは、言うまでもありません)。

 

【なぜ「(人数を半分以上に絞る)筆記通過者」なのか?】

「早押チャレンジクラス」と銘打つ以上、本来は早押しの実力で基準にすべきです。ですが、「早押しクイズ」の結果は「水物」的な部分があります。「新人王早押王」のように、4セット280問で実力判定をするならともかく、たまたま敗者復活ラウンドの1○1×を1問答えたがゆえにチャレンジクラスを卒業し参加資格を失う、というのは適当でないと考えます。これを踏まえ、「半分以上の人数に絞られ、早押しへの挑戦権利を得られる筆記力がある方」は「早押しクイズの実力もある」とみなし、「卒業相当」という形としました。

 

チャレンジクラス卒業例外規定について

このような「初心者限定大会」で大きな実力差を生じさせないうえで必要なのは、「クイズから離れていて復帰したけど、実力はチャレンジクラス相当」の方は受け入れつつ、「最近大会に出てないだけの強豪」を対象外にすることかと考えております。

色々考えた末に「新人王早押王予選4戦終えて0勝」「一度でも卒業した人は、2大会連続で0勝」を、チャレンジクラス復帰の一つの目安としました。

ここには他の大会(abcなど)を加えませんでした。「新人王早押王」のように、4セット280問で実力判定をし「0勝」レベルの力を適切に判定する大会は、他に存在していないためです。ただし、今後そのような大会が他にも登場した場合、Ver2.0として復帰基準を追加する可能性があります。

 

「チャレンジクラス」大会主催者の規定について

ここも色々な「なぜ?」を書きます。 

 

 【なぜ「新・一心精進」告知前提なのか?】

「そこで活躍した人は 卒業」ということにしないと、「自称・初心者」がずっと初心者大会に出続けることになるためです。「このレギュレーションを使うからには、しっかり告知し、しっかり上位を報告することで、卒業者を明確にして欲しい」ということになります。

 

 【なぜ「規定を厳しくする」ことは許されるのに、「緩める」ことは許されないのか?】 

「活躍できなかったら例外規定で今後出場できる」ということを考えると、緩めたことで出場した強豪が「チャレンジクラスで新・一心精進載らなかったから」と、今後チャレンジクラスに出場できてしまうためです。

逆に、規定を厳しくするのは全面的にOKとしています。例えば、「地域に限定する」「世代を限定する」などで、主催が身の丈に合った形で「チャレンジクラス」を主催できればと思っています。

 

審査の有無について

 もう一つ、大変迷ったのが「チャレンジクラスを名乗る」にあたっての「審査の有無」です。

 「はじめに」で述べたように、『新・一心精進』は「大会掲載に審査がほぼない」ことが特徴であり、ここが素晴らしいところでもあると考えます。

 一方で、【チャレンジクラス】が確立されていくのだとすれば、「初心者が初めて参加する大会」になる可能性が高いでしょう。審査なしで開催されていった場合、「クオリティの低い大会」がチャレンジクラスとして開催させる可能性があります(「クオリティ」というのは問題や問読みのレベルはもちろん、参加者に伝えるべきことが伝えられているか、初参加者をゲストとして迎える意識があるか、などです)。クオリティと言っても最低限を満たしていればよいと思うのですが、場合によっては「初参加した大会のクオリティがあまりに低く、それが故にクイズから距離を置いてしまう初心者」が生まれてしまう可能性もあります。また、適切でない大会において「運」で残した結果で、チャレンジクラスを卒業してしまうのは、参加者にとっても不幸なはずです。

 ここも大変迷った末に、「基本審査なし」「卒業レベルの方であれば、誰でも主催できる」「ただし、最低限の規定を設け、完全に規定を逸脱しているという評判が上がった場合、チャレンジクラスを名乗ることの自粛をお願いする場合がある」形を初期案と致しました。

以上で動き出したうえで何らか問題が起きるようであれば、明確な「審査」の導入を検討する必要があるかもしれません。もちろんその場合、「誰が審査をするのか」「納得いく審査ができるのか」「審査に委縮して大会を開こうという意欲を削いでしまうのではないか」などの課題が予想されます(審査制度の導入も簡単ではありません)。

 

 

以上、色々考えて規定を作りましたが、この共通出場資格が皆さんに使われるものになるか、全く使われない基準になるか、はてまたこれに改良を加えた別の取り組みがうまく回っていくか、正直分かりません。

 

「ビギナー向けのクイズ」は、「新・一心精進」に代表される「ギブアンドテイクのクイズ」とは相反するものなのか?それとも、うまい仕組みを作れば「ビギナーにも優しいアマチュアクイズ界」になれるのか?

 

クイズを仕事にしていない私にできるのは、「仕組みのタネ」を作るところまでと考えています。今後の流れを、一歩引いた立場で見ていきたいと思っております。

 

第11回新人王早押王チャレンジクラス大会長

市川尚志